Table of Contents
- PR施策設計(PR戦略)とは?なぜ重要なのか
- 「広告」との違いとPRが果たす役割
- 戦略なきPR施策が失敗しやすい理由
- ゼロから始めるPR施策設計の5ステップ【実践ロードマップ】
- STEP1:現状把握と課題設定(As-Is / To-Beのギャップ分析)
- STEP2:ターゲット(ペルソナ)の明確化と共感ポイント
- STEP3:KGI・KPI(ゴールと評価指標)の具体的設定
- STEP4:コアメッセージの開発とストーリー構築
- STEP5:最適な手法の選定とメディアプランニング(PESOモデル)
- 企画書の質を高める!PR戦略に必須のフレームワーク
- 外部・内部環境を整理する「SWOT分析」「PEST分析」
- 自社の強みと競合優位性を見つける「3C分析」「4P分析」
- 成功事例に学ぶ!効果的なPR施策のポイント
- PR施策設計に関するよくある質問 (FAQ)
- まとめ:PDCAサイクルを回してPRの精度を高め続けよう
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PR施策設計とは、単なるメディア露出ではなく、企業と社会の良好な関係を築くための「戦略的な地図」を描くことです。
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広告がお金を払って枠を買うのに対し、PRは第三者からの信頼を獲得する活動であり、その役割は明確に異なります。
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初心者はまず「現状把握」「ターゲット設定」「目標設定」「メッセージ開発」「手法選定」の5ステップから始めましょう。
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SWOT分析やPESOモデルなどのフレームワークを活用することで、企画書の説得力と施策の精度が劇的に向上します。
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施策はやりっぱなしにせず、KGI・KPIに基づいた効果測定とPDCAサイクルを回すことが成功への近道です。
「来期からPR担当として、新しい施策を考えてほしい」──突然の上司からの指示に、戸惑っていませんか?「そもそもPRと広告は何が違うの?」「何から手を付ければいいのか分からない」と、不安を感じるのは当然のことです。PR(広報)は専門用語も多く、経験がないと雲をつかむような話に思えるかもしれません。しかし、正しい手順と「設計図」さえあれば、未経験からでも効果的なPR戦略を立てることは可能です。この記事では、PR初心者が迷わず業務を進められるよう、ゼロから始めるPR施策設計の具体的な5つのステップを、ロードマップ形式で分かりやすく解説します。まずはこの地図を手に、最初の一歩を踏み出しましょう。
PR施策設計(PR戦略)とは?なぜ重要なのか
PR施策設計とは、企業が目指すゴールに到達するために、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを計画する、いわば「航海図」を描く作業です。多くの人がPR(Public Relations)を「テレビや新聞に出ること」や「プレスリリースを打つこと」と狭く捉えがちですが、本質はもっと広義にあります。
PRの本来の意味は「公衆との良好な関係構築」です。単に情報を発信するだけでなく、社会や顧客から信頼され、応援される状態を作ることが目的です。なぜ今、戦略的な設計が重要なのでしょうか?それは、情報過多の現代において、思いつきの単発的な発信では誰の心にも届かないからです。企業の課題解決に直結するストーリーを描き、意図を持って情報を届ける「設計」があって初めて、PRは経営を助ける強力な武器となります。
「広告」との違いとPRが果たす役割
PR施策を設計する上で、まず理解しておきたいのが「広告」との違いです。ここを混同すると、施策の方向性がブレてしまいます。
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広告(Advertising):メディアの枠をお金で買い、企業が伝えたい内容をコントロールして発信する手法。「私は素晴らしい」と自ら名乗る行為に近く、即効性がありますが、情報の信頼性はPRに劣る場合があります。
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PR(Public Relations):メディアやSNSなどを通じて、第三者に自社の情報を報道・言及してもらうよう働きかける手法。「彼は素晴らしい」と他人に言ってもらう行為に近く、コントロールは難しいものの、客観的な信頼性(社会的信用)を得やすいのが特徴です。
PRの役割は、この「信頼」を醸成し、生活者の態度変容(好きになる、欲しくなる)を自然な形で促すことにあります。
戦略なきPR施策が失敗しやすい理由
「とりあえずプレスリリースを毎月出そう」「流行りのSNSを始めよう」。このように、戦略(目的)がないまま戦術(手段)から入るPR施策は、残念ながら失敗する可能性が高いです。
なぜなら、「誰のために」「何のために」行っているかが不明確なため、発信内容に一貫性がなくなり、ターゲットに響かないからです。また、ゴール(KGI)が設定されていないと、効果測定ができず、「忙しいのに成果が見えない」という疲弊した状態に陥ります。地図を持たずに航海に出れば遭難するように、PRも戦略という地図がなければ、目的地(成果)にはたどり着けません。失敗を避けるためには、まず「設計」に時間を割くことが不可欠です。
ゼロから始めるPR施策設計の5ステップ【実践ロードマップ】
ここからは、実際にPR施策を設計するための具体的な手順をご紹介します。専門的な知識がなくても大丈夫です。以下の5つのステップを順番に進めていくことで、論理的で説得力のあるPR企画書が完成します。まずは焦らず、一つひとつの要素を言語化することから始めましょう。
STEP1:現状把握と課題設定(As-Is / To-Beのギャップ分析)
最初のステップは、自社の現在地を知ることです。理想の状態(To-Be)と、現在の状態(As-Is)を書き出し、その間にあるギャップ(差)を明確にします。このギャップこそが、PRで解決すべき「課題」となります。
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To-Be(理想):業界内でシェアNo.1の認知度を獲得したい。
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As-Is(現状):商品は良いが、知名度が低く、競合に埋もれている。
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課題(ギャップ):商品の独自性がターゲットに伝わっていない。
このように整理することで、「何を解決するためにPRをするのか」という目的が定まります。ここがブレると、後のすべての工程が無駄になってしまうため、社内の関係者と認識をすり合わせながら慎重に行いましょう。
STEP2:ターゲット(ペルソナ)の明確化と共感ポイント
次に、「誰に」情報を届けたいかを決めます。「20代女性」といった大まかな属性だけでなく、具体的な人物像(ペルソナ)まで落とし込むことが重要です。
「都内在住、30歳、IT企業勤務。最近健康診断の結果が気になり始め、手軽な健康法を探しているが、忙しくてジムには通えない」といったように、その人の悩みやライフスタイルまで想像します。ペルソナを詳細に設定することで、「この人ならどんな言葉に共感するか」「普段どのメディアを見ているか」が見えてきます。PRは「広く浅く」よりも「特定の誰かに深く刺さる」情報のほうが、結果的に波及効果を生みやすいのです。
STEP3:KGI・KPI(ゴールと評価指標)の具体的設定
PR活動は成果が見えにくいと言われますが、だからこそ数値目標の設定が不可欠です。ここでは「KGI」と「KPI」という指標を使います。
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KGI(重要目標達成指標):最終的なゴール。
例:ブランド認知度を10%向上させる、指名検索数を前年比120%にする。 -
KPI(重要業績評価指標):ゴールまでの過程を測る中間指標。
例:メディア掲載数5件、Webサイトへの流入数1,000件、SNSのエンゲージメント率。
初心者はまず、「行動量(リリース本数など)」ではなく、「結果(掲載数や反響)」を指標に置く意識を持ちましょう。測定可能なゴールがあることで、施策の良し悪しを判断できるようになります。
STEP4:コアメッセージの開発とストーリー構築
ターゲットとゴールが決まったら、「何を」伝えるか、つまりコアメッセージを開発します。ここで重要なのは、企業の「言いたいこと」と、世の中やターゲットが「知りたいこと」の接点を見つけることです。
単なる商品スペックの羅列はPRになりません。「開発者がなぜこれを作ったのか(想い)」「この商品が社会のどんな課題を解決するのか(社会的意義)」といったストーリーを付加することで、メディアや生活者の共感を呼びます。「機能」ではなく「価値」や「体験」を言語化し、一言で伝わるキャッチコピーやキーワードに落とし込みましょう。
STEP5:最適な手法の選定とメディアプランニング(PESOモデル)
最後に、「どのように」届けるか、具体的な手法を選定します。ここでは「PESO(ペソ)モデル」という考え方が役立ちます。4つのメディアを組み合わせて情報を流通させましょう。
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Paid(広告):Web広告など。認知のきっかけを作る。
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Earned(パブリシティ):ニュース報道や記事化。信頼を獲得する。
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Shared(共有):SNSでの拡散。共感を広げる。
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Owned(自社メディア):自社サイトやブログ。理解を深める。
例えば、「プレスリリースでEarnedを狙いつつ(信頼獲得)、その記事を自社SNS(Shared)で拡散し、興味を持った人を自社サイト(Owned)へ誘導する」といった連携プレーを設計します。
企画書の質を高める!PR戦略に必須のフレームワーク
PR施策を上司やクライアントに提案する際、説得力を高めるために役立つのがビジネスフレームワークです。これらを使うことで、客観的なデータに基づいた論理的な戦略であることを証明できます。ここでは、PR戦略設計で特によく使われる分析手法を紹介します。
外部・内部環境を整理する「SWOT分析」「PEST分析」
自社を取り巻く環境を整理するには、以下の2つが有効です。
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SWOT分析:自社の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」という内部要因と、市場の「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」という外部要因を掛け合わせて分析します。「強みを活かして機会を掴むにはどうするか?」といった戦略の方向性を導き出せます。
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PEST分析:「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4つの視点から、世の中のトレンドやマクロ環境を分析します。PRは社会の空気感(世論)と密接に関わるため、今、社会が何を求めているかを知るために必須の分析です。
自社の強みと競合優位性を見つける「3C分析」「4P分析」
競合との差別化ポイントを明確にするには、マーケティング視点のフレームワークを活用します。
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3C分析:「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3者の関係性を分析します。競合が提供できておらず、顧客が求めている自社の強み(成功のカギ)を見つけ出します。
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4P分析(マーケティング・ミックス):「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の4要素で自社商品を定義します。PR施策はPromotionの一部ですが、他の3要素との整合性が取れているかを確認するために重要です。
成功事例に学ぶ!効果的なPR施策のポイント
優れたPR施策には共通点があります。それは「社会性」と「意外性」のバランスです。
例えば、ある地方の中小企業が「廃材を活用した新商品」を開発した事例では、単に「エコな商品」として売り出すのではなく、「地元の伝統産業を守るための挑戦」というストーリー(社会性)を打ち出しました。さらに、異業種とのコラボレーションという「意外性」を掛け合わせることで、多くのメディアに取り上げられ、結果として売上も向上しました。
また、B2B企業の事例では、派手なイベントではなく、地道な「調査リリース(業界の実態調査データなどの発表)」を継続的に行いました。これにより、「この分野の専門家」としてのポジションを確立し、メディアからの取材依頼が急増しました。
これらの成功事例から学べるのは、予算の多寡ではなく、「世の中の関心事(コンテキスト)に合わせて、自社の情報をどう料理するか」という企画の工夫こそが、PRの成否を分けるということです。
PR施策設計に関するよくある質問 (FAQ)
PR施策の効果が出るまで、どのくらいの期間が必要ですか?
PRは広告と異なり、即効性は期待しにくい施策です。メディアとの関係構築や認知の浸透には時間がかかるため、一般的には最低でも半年〜1年程度の中長期的な視点で計画を立てることをおすすめします。短期的な露出だけでなく、継続的な発信が信頼の蓄積につながります。
予算がほとんどないのですが、PR施策は可能ですか?
可能です。PRの最大のメリットは、広告費をかけずにメディア露出を獲得できる点にあります。プレスリリースの作成やSNSの運用、メディアへの直接のアプローチ(メディアプロモート)など、人手と知恵を使えば低予算でも大きな効果を生み出すことができます。まずは自社の「ネタ(ニュース)」を掘り起こすことから始めましょう。
KPIの設定が難しいのですが、何を目安にすれば良いですか?
最初は測定しやすい指標から始めましょう。「プレスリリースの配信数」などの行動目標ではなく、「メディア掲載数」「自社サイトへのアクセス数」「指名検索数(社名や商品名での検索数)」などが一般的です。慣れてきたら、「掲載による広告換算額」や「問い合わせ件数」など、より経営に直結する指標を取り入れていくと良いでしょう。
まとめ:PDCAサイクルを回してPRの精度を高め続けよう
PR施策設計は、一度計画を立てて終わりではありません。実行した施策がどのような結果を生んだのか、設定したKPIと照らし合わせて振り返ることが最も重要です。「なぜ掲載されたのか」「なぜ反応が薄かったのか」を分析し、次のアクション(Plan)に活かすPDCAサイクルを回し続けましょう。最初は小さな一歩でも、戦略を持って継続することで、PRは必ず企業の大きな力となります。自信を持って、まずは最初の企画書作りから始めてみてください。