Table of Contents
- はじめに:広報・社内共有の資料整備が「信頼」を作る
- 1. 【基礎編】まずは対外向け「プレスキット」を整備する
- メディアが即座に使える「基本の5点セット」とは
- 意外と見落としがち!数字で語る「ファクトシート」の重要性
- 2. 【実践編】取材対応を成功に導く準備と資料
- 担当者の不安を消す「想定問答集(Q&A)」の作り方
- 取材当日・事後に慌てないための「進行チェックリスト」
- 3. 【応用編】広報成果を「社内共有」して組織を強くする
- プレスリリースや取材記事を「社内報」コンテンツに再利用するコツ
- 属人化を防ぐ!社内ナレッジとしての「資料アーカイブ」運用法
- 4. 効率化とリスク管理のためのツール・注意点
- 資料作成・共有におすすめのデジタルツール
- 【重要】著作権と情報漏洩を防ぐコンプライアンスの基本
- 広報資料・社内共有に関するよくある質問 (FAQ)
- まとめ:資料を整えて「攻めの広報」と「強い組織」を作ろう
広報活動の基盤となる「プレスキット」の基本構成と、メディアが求める「ファクトシート」の重要性を解説します。
取材対応の不安を解消するための「想定問答集(Q&A)」作成法と、当日の進行チェックリストを提供します。
外部への広報成果を社内報やナレッジとして再利用し、組織力を高める「社内共有」のノウハウを紹介します。
著作権や情報漏洩など、広報担当者が必ず知っておくべきコンプライアンスとリスク管理の基本を押さえます。
「来週から広報も兼任してほしい」「急にメディアから取材依頼が来たけれど、何を準備すればいいの?」──そんな辞令や連絡を受けて、不安を感じていませんか? 初めての広報業務は、専門用語や独特のルールが多く、どこから手をつければよいか戸惑うものです。しかし、焦る必要はありません。広報活動の成功は、事前の「資料の整え方」で9割が決まると言っても過言ではないからです。適切な資料が手元にあれば、急な取材にも自信を持って対応でき、その成果を社内に還元して組織を盛り上げることも可能になります。この記事では、新任担当者がまず揃えるべき資料の作成手順から、取材対応、そして社内共有への活用まで、実務に直結するノウハウを網羅的に解説します。
はじめに:広報・社内共有の資料整備が「信頼」を作る
広報担当者として最初に取り組むべきは、「プレスキット(メディアキット)」の整備です。プレスキットとは、記者や編集者が記事を書くために必要な、企業の基本情報をまとめた資料セットのことです。
なぜこれが必要なのでしょうか。メディア関係者は日々、膨大な数のプレスリリースを受け取り、常に時間に追われています。彼らが取材を検討したり、記事を執筆したりする際、「必要な情報がすぐに手に入らない」ことは大きなストレスとなり、最悪の場合、掲載の機会を逃すことさえあります。
逆に、Webサイト上にダウンロード可能なプレスキットが用意されていたり、問い合わせに対して即座にキットを提供できたりすれば、記者の作業負担は大幅に減ります。「この会社の広報は分かっている」「仕事がしやすい」という評価は、その後の継続的な関係構築(メディアリレーションズ)において強力な武器となります。
プレスキットは一度作って終わりではありません。事業の成長や組織の変更に合わせて常に最新の状態に保つ必要があります。まずは、自社の現在の資料を棚卸しし、不足している要素がないかを確認することから始めましょう。次項で、具体的に揃えるべき「5つの必須アイテム」について解説します。
メディアが即座に使える「基本の5点セット」とは
プレスキットには、以下の5点を必ず含めるようにしましょう。これらが揃っていれば、記者は最低限の記事構成を組み立てることができます。
会社概要(プロフィール)
企業理念、設立年、代表者名、所在地、資本金などの基本データです。PDF1枚に簡潔にまとめます。事業・サービス紹介資料
何をしている会社なのか、主力製品やサービスの特徴を分かりやすく解説した資料です。専門用語を避け、誰が読んでも分かる言葉で記述します。高解像度の画像素材
会社のロゴ(aiデータや透過png)、代表者の顔写真、製品・サービスの利用イメージ写真など。印刷に耐えうる高画質なものを用意します。最新のプレスリリース
直近のニュースやトピックスを同梱することで、企業の「今」の動きを伝えます。問い合わせ先情報
担当者の氏名、直通電話番号、メールアドレスを明記します。緊急時の連絡先として必須です。
意外と見落としがち!数字で語る「ファクトシート」の重要性

プレスキットの準備ができ、プレスリリース配信などの活動を行っていると、いよいよメディアから「取材依頼」が舞い込むようになります。初めての取材対応は緊張するものですが、ここでも「資料の準備」が成否を分けます。
取材対応における最大のゴールは、「メディアが聞きたいこと」と「自社が伝えたいこと」の接点を見つけ、正確な記事にしてもらうことです。そのためには、行き当たりばったりの会話ではなく、設計されたコミュニケーションが必要です。
多くの新任担当者が陥りがちなのが、想定外の質問に答えられず沈黙してしまったり、不正確な情報を伝えて後で訂正に追われたりするケースです。こうしたトラブルを防ぐために、取材当日までに準備すべき内部用資料について解説します。これらはメディアに渡すものではなく、広報担当者と取材対象者(社長や開発責任者など)が手元に持ち、認識を合わせるための「台本」のような役割を果たします。
担当者の不安を消す「想定問答集(Q&A)」の作り方
取材前には必ず「想定問答集(Q&Aシート)」を作成しましょう。これは、記者が聞いてきそうな質問と、それに対する模範回答をまとめたものです。
作成のポイント:
基本質問: 「創業の経緯は?」「サービスの強みは?」などの王道質問。
時事・トレンド質問: 「業界の法改正についてどう思うか?」「競合他社との違いは?」など、市場環境に関する質問。
ネガティブ質問(重要): 「最近の赤字の原因は?」「不具合への対応は?」など、答えにくい質問こそ、事前に回答方針(公式見解)を固めておく必要があります。
このシートを取材対象者と事前に読み合わせることで、「この質問にはこう答える」という合意形成ができ、当日の回答のブレや失言を防ぐことができます。
取材当日・事後に慌てないための「進行チェックリスト」
広報の仕事は、記事が掲載されたら終わりではありません。その成果を「社内」に還元し、組織の活性化につなげることまでが広報の重要な役割です。これを「インターナル・コミュニケーション(社内広報)」と呼びます。
外部メディアに取り上げられたという事実は、社員にとって「自分の会社が社会から認められた」という誇り(シビックプライド)につながります。しかし、単に「掲載されました」とURLを共有するだけでは、その効果は半減してしまいます。社員は忙しく、自分に関係のないニュースには関心を持ちにくいからです。
そこで重要になるのが、広報活動で作成した資料や得られた情報を、社内向けに「翻訳」して再利用することです。外部向けの情報を社内コンテンツとして流通させることで、社員の自社理解が深まり、営業トークの質が向上したり、採用活動でのリファラル(紹介)が増えたりといった実利的なメリットも生まれます。ここでは、広報資料を社内共有に活かす具体的なテクニックを紹介します。
プレスリリースや取材記事を「社内報」コンテンツに再利用するコツ
広報資料は「会社の歴史」そのものです。担当者個人のPCに保存するのではなく、全社的な資産としてアーカイブ(保存・管理)しましょう。
運用のポイント:
クラウドで一元管理: Google DriveやBoxなどのクラウドストレージに「広報資料」フォルダを作成し、誰でも最新のロゴや会社概要を取り出せるようにします。
命名規則の統一: 「20251213_会社概要_v2.pdf」のように、日付と内容がひと目で分かるファイル名を徹底します。「最新版」「最終」といった曖昧な表現は避けましょう。
更新ルールの設定: 半期に一度など、定期的に資料を見直す日を決め、古い情報が社内に流通し続けるのを防ぎます。
こうすることで、広報担当者が不在でも社員が自律的に正しい情報を使えるようになり、業務効率化と属人化の解消が同時に実現します。
4. 効率化とリスク管理のためのツール・注意点
最後に、これらの一連の業務を効率化するためのツールと、広報担当者として絶対に守らなければならないコンプライアンス(法令遵守)について解説します。
属人化を防ぐ!社内ナレッジとしての「資料アーカイブ」運用法
広報活動には法的リスクが伴います。特に注意すべきは以下の2点です。
記事の無断転載(著作権): メディアに掲載された記事や写真を、許可なく自社サイトやパンフレットに転載することは著作権侵害になります。必ずメディア側の許諾(場合によっては二次利用料の支払い)が必要です。社内イントラネットでの共有も、厳密には複製権の侵害になる可能性があるため、URLの共有に留めるのが安全です。
情報漏洩(インサイダー取引など): 未発表の新製品や提携話を取材で話す際は、必ず「情報解禁日(エンバーゴ)」を設定し、記者と合意する必要があります。不用意な発言が株価に影響を与えるリスクを常に意識しましょう。
広報資料・社内共有に関するよくある質問 (FAQ)
Q. プレスキットは紙とデータ、どちらを用意すべきですか?
A. 基本は「データ(ダウンロードURL)」で問題ありませんが、対面取材の際は手渡しできるよう「紙」のセットも数部用意しておくと丁寧です。記者がその場でメモを書き込めるメリットがあります。
Q. 社内報を作るリソースがありません。どうすればいいですか?
A. 無理に立派な冊子を作る必要はありません。まずは全社チャットやメールで、週に1回「広報からのニュース」を流すだけでも立派な社内広報です。継続することが最も重要です。
Q. 取材で答えられない質問をされたらどうすればいいですか?
A. 無理に答えたり、推測で話したりするのはNGです。「確認して後ほど正確な情報をご連絡します」と伝え、持ち帰るのが正解です。誠実な対応が信頼を生みます。
資料作成・共有におすすめのデジタルツール
広報資料を整えることは、未来の取材成功と社内の信頼構築への投資です。まずは「基本の5点セット」と「Q&A」の作成から始めてみてください。地道な準備が、いざという時にあなたと会社を助ける最強の武器になるはずです。



